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最新記事【2007年08月06日】

まず自分や家族とのライフスタイルに合わせた動物たちを選択する必要があります。特に犬の場合は、運動量と世話をする人の年齢等も考慮した上で選びたいですね。「流行だから」「ブームだから」と衝動的に選ぶのは避けましょう。自分たちにとって飼育に無理のある犬種だと、癒し効果どころか逆にストレスにもなりかねません。そして、それは犬たちにとっても不幸な事なのですから…。

また、適切なしつけや予防接種などの健康管理も必要になります。排泄のしつけや、きちんと社会化をさせるためにも子犬時代からのしつけが重要になるでしょう。最近では、頭から押さえつけるのではなく、犬が自分から進んでやるような陽性強化法(ほめてしつける)が、覚えもよく人間に対して友好的で飼いやすい犬になるようです。

こうしてしつけられ、家族同様に家の中で一緒に暮らしている犬や猫は、セラピー犬・猫として福祉施設などへのボランティア活動に参加できるようになります。犬や猫たちのストレスや配慮も踏まえた上で、さらに私たち人間と動物たちの絆が深まればどんなにか心豊かで満ち足りた社会になるでしょうか。

お年寄りのいない核家族に育つ子どもたちにとって、身近な「死」に接する機会が減っている事がよく指摘されています。「死ぬ」という事の意味がピンとこない、誰かに死なれて悲しむ人の気持ちを実感として肌で感じ取ることができない…とも言われています。ゲームの中の「死」は簡単にリセットできますが、生きている人間や動物にとっては、一度死んでしまえば決して生き返ることはありませんし、もう永遠に会えなくなることなのです。

「死」の本当の意味を子ども時代に実感として知る事は「生命の尊さ」を肌で知る事でもあるのです。子どもたちにとっては過酷なことかもしれませんが、愛するものを失うことの悲しみと苦しみを子ども時代に知ることは、実は成長してゆくうえで非常に重要な事でもあります。苦しみや悲しみへの共感は、そのまま他者への深い思いやりの心を育てる事にもつながるからでしょうか。

家族同様に愛し愛されてともに過ごしたペットたち…。けれども、人間ほどの寿命を持たないペットたちの殆どは、確実に私たちよりも早く逝ってしまうのです。どれほど適切に管理して面倒を見ても、寿命である限り彼らの死を避ける事はできません。ペットを失った後の飼い主の悲しみを「ペットロス」として取り上げられる事が増えてきましたが、この悲しみを乗り越えるための心の動きをエリザベス・キューブラー・ロス博士は『悲哀のプロセス』と名づけました。もともとは人間を対象としているのですが、家族同様のペットたちにも当てはまるからです。

第一段階:否認
えっ、そんな!嘘でしょ!!どうして?そんなのイヤ!!
悲しい出来事が起こると、ショックのために目の前にある事実を認めたくなくなります。
現実を認めたくない拒絶反応なのですが、実は、次に来る心の打撃に対する緩和作用にな
っているのです。

第二段階:駆け引き
例えば、死に掛かっているペットが元気になったら、もっと可愛がります、散歩にももっ
と連れて行ってやります、(子どもならば)もっとイイ子になります、だから神さま助け
てください!と心に祈る事などがそうですね。あなた、身に覚えがありませんか?

第三段階:怒り
泣いたり怒ったり、自分を責めたりします。誰も自分の悲しい気持ちをわかってくれない
と第三者に怒りをぶつけたり、もっと早く医者に診せてやればよかった、自分がもっと大
切にすれば長生きできたのではないか、と過去の事をくよくよと後悔し罪悪感を覚える事
もあります。実は、これは傷ついた心が治っていくための感情の動きなのです。

第四段階:抑うつ
ここからが本当の悲しみに入ります。罪悪感や怒りは消え、何も手につかないような、た
まらない虚しさを覚えます。ここで大切な事は、自分が悲しんでいるのだとハッキリ認め
ることです。たかがペットが死んだくらいで、こんなにくよくよするのは恥ずかしい、い
いオトナが仕事も家事も手につかないほど悲しいなんて、我ながらオカシイのではないか?
と悲しみを無理に押さえ込む必要はありません!この悲しみは当然のことなのです。同じ
ようにペットを亡くした経験のある周囲の人たちからの協力が必要なときでもあります。

第五段階:受容
ここに来てようやく死の悲しみから抜け出す事が出来るようになります。共に過ごした楽し
かった事などを思い出します。そうして、死んでしまったペットに対して、心から「楽しい
思い出をありがとう」と感謝できるようになります。

これが「悲哀のプロセス」と呼ばれる感情の動きです。実際には、この順番どおりではなく
前後する事もありますが、おおむねこの流れで心は癒されてゆきます。

次の段階として、ペットロスに対して有効なのは、実は新しいペットを飼う事なのです。新しい動物を飼う事は、前の動物を忘れる事ではありません。逆に、楽しかった思い出がくっきりと甦ることでもあるのです。愛犬との思い出を書いた『ハラスのいた日々』の著者、中野孝次氏の一連の作品を読むと非常によくその点が描かれています。愛犬ハラスに死なれたあと、もう二度と犬は飼うまいと一旦は決心した氏が、その後、別の犬たちを飼うことにより、さらに充実した日々を送れるようになった事が綴られています。

日本が世界に誇る長編小説『源氏物語』にも唐猫(唐から輸入されたブランド猫?!)が重要な役割を果たすシーンが描かれています。光源氏の妻の一人である、女三宮に一目ぼれしてしまい、不倫の関係に苦しむ貴公子が登場しますが、この彼と女三宮の出会いのきっかけを作るのが猫なのです。

同時代の『枕草子』にも、一条天皇が真っ白な雌猫を「命婦のおとど」と名づけて可愛がっていたことが書かれています。ちなみに「おとど」というのは「大臣」という意味でして‥猫に「大臣」という役職名を与えるほど愛していたのですね。また同じ宮中に「翁丸」という名の犬も飼われていて、いたずらをして一旦追い出されたのですが、戻ってきた時、清少納言に名前を呼ばれると涙を流して喜んだというエピソードもあります。アメリカの開拓時代を舞台にした『大草原の小さな家』シリーズでは、番犬ジャックや猫のキティが家族の一員として登場しますね。

また、登場人物?ではないのですが、江戸時代に『南総里見八犬伝』を書いた滝沢馬琴は、大の小鳥好きで常時100羽以上の小鳥を飼い、その鳴き声を楽しんでいたそうです。『吾輩は猫である』を書いた文豪・夏目漱石は、愛猫が死んだときには死亡通知まで出したとか…。ノーベル賞作家の川端康成は大の犬好きで、随筆の中で「犬を飼うと、家の中でいらいらすることが目に見えて少なくなってきた」と語っていますが、この意見には思わずうなずいてしまう方も多いのではないでしょうか。

ずっと昔、「人生五十年」などと言われた時代もありましたが、平均寿命が延びた結果、「人生八十年」が最早あたりまえの時代になろうとしています。仕事や子育てが一段落したあとも、まだまだ人生は続きます。

人間誰しも、年を重ねると、身体的な自由が利かなくなり、記憶力が衰え、常に周囲から面倒を見てもらわなければならなくなります。自分が最早必要とされない事を思い知らされる事も多くなるでしょう。これが自信喪失につながります。自分自身の存在価値が無くなってしまうような悲しみを覚えるかもしれません。

男性の場合、どんなに一生懸命働いて出世しても、リタイアしたらタダの人…という現実があります。これといった趣味も無く、仕事一筋に生きた働きマンだったお父さんたちにとっては、交際相手も仕事の関係者に限られる事が多いし、退職したらすっかり疎遠になってしまったという話もよく聞きますね。家族はというと、既に子どもたちも独立して家を出ているし、奥さんも自分の楽しみや趣味を見つけて楽しんでいても、自分は置いてきぼり…。かといって、急に地域社会に溶け合うのも、これまでの人間関係の実績が希薄であるとかなり困難なことになります。

ところが、動物を飼って面倒を見るということは…

①ストレスや孤独感が無くなり責任感が生まれる、世話をする事が新しい生き甲斐にすらなる。
②運動促進の動機付けとなり、結果としてリハビリ効果になる。
③家族や地域住民との潤滑油となり、共通の会話が増える。

等々のメリットがあり、結果として、充実した毎日が送れるようになるのではないでしょうか。

犬や猫などの動物とのふれあいによって、人の心身の健康にさまざまな効果を期待する行為を
総称してアニマル・セラピーと呼びます。

アニマル・セラピーは大まかに3つの形に分類されます。
・動物介在活動 (AAA)アニマル・アシステッド・アクティビテイ
 動物とふれあうことが目的で、近年では、獣医師とボランティアが動物を連れて福祉施設や
 老人ホームを訪問する活動が広がっています。(社)日本動物病院福祉協会(JAHA)が
 1986年に本格的に訪問活動を始めて20年以上たちました。この活動は、経験を重ねるうちに
 多くの福祉施設や関係者に支持されるようになり現在に至ります。
 高齢者施設を訪問した場合は、活動によって次のような変化が見られたそうです。

 ①寝たきりの人の離床率が高まった
 ②動物に声をかけることで発声のリハビリに役立つ
 ③動物にふれたいと努力することで全身のリハビリに役立つ
 ④無表情だったお年寄りが動物と接して表現力を取り戻した
 ⑤次回の訪問を期待し生活の楽しみができた
 ⑥施設内のお年より同士や職員間に共通の話題ができ雰囲気が明るくなった

 訪問する動物たちは、ボランティアの方が飼っているペットですが、概ね以下のような条件を
 備えた動物たちがふさわしいようです。

 >どんな動物がふさわしいの?
  行動が予測しやすく表情が豊かで親しみやすい動物
  犬・猫・ウサギ(リードをつける)
  ハムスター・小鳥・モルモットなど(ケージに入れる)
 >条件は?
  社交的で人間好きな性質、しつけがキチンとなされている動物
  JAHAでは下記を基準にしています。
  ①ムダ鳴きをしない
  ②みだりに排泄をしない
  ③室内で飼育されている
  ④健康診断を受けている
  ⑤できれば不妊・去勢済み
  ⑥人ごみの中でも落ち着いていられる
  ⑦他の動物に対しても落ち着いている
  ⑧「お座り」「待て」などができる
  ⑨予防接種済み
  
 また、施設内で動物を飼育するケース、動物のいる場所に
 出かける形もあります。
 
・動物介在療法 (AAT)アニマル・アシステッド・セラピー
 医療従事者が専門的治療行為として行い、観察記録もとる。動物や活動目的に対する知識と
 緊張感が要求されます。

・動物介在教育 (AAE)アニマル・アシスッテド・エデュケーション
 学校教育の現場において、動物とのふれあいや命の尊さを子どもたちに学んでもらうため、
 総合学習などに取り入れられている。

1:血圧
  一般的に、動物を見たりなでたりすると血圧が下がるといわれています。
  多くの人は、年齢と共にだんだん血圧が高くなります。高血圧は万病の元と言われ、
  ひどくなると、脳卒中や心筋梗塞を引き起こす原因となるのは知られていますね。

  ※ある老人ホームでの実験結果ですが、猫に触れる前と後の人間の血圧の変化について
   調べたものです。
   68歳の男性:最高血圧138 最低血圧101 ⇒ 最高126 最低96
   72歳の女性:最高血圧136 最低血圧102 ⇒ 最高115 最低86
   数十人の入居者にテストしたところ、約80%以上の方たちの血圧が下がったのです。
  ※ペンシルバニア大学の獣医学学部でも、犬で実験を行い同様の結果を得ています。
  
2:心臓病
  心臓病とペット飼育の相関研究をしているエリヤ・フリードマン博士によると、心筋梗塞
  の発作後、一年後の生存率は、ペットを飼っている人の方が3倍以上高かったそうです。
  また、冠状動脈の閉塞で治療した人の1年後の調査でも、ペットを飼っている人のほうが
  高い生存率を示しています。
  また、オーストラリアのW・アンダーソンは、5,741人の患者の心臓・血管に影響を及ぼす
  危険因子(中性脂肪、コレステロール等)とペット飼育との関係を調査した結果、ペット
  飼育者の方がこういう数字が低かったという報告をしています。

3:通院回数
  カルフォルニア大学公衆衛生学教授で心理学者のジュディス・M・シーゲル博士は、高齢者
  の通院回数とペット飼育の有無との相関を調査しました。約1,000人の高齢者を対象とした1
  年間の調査によると、特に犬を飼っている患者のほうが飼っていない患者よりも、医師を訪
  れる回数が少なかったという結果が出ています。

これらの報告は、ペットが病気の進行を食い止めるほど健康維持に貢献していることを語っており、動物と暮らすことが私たちにとって、精神的にも生理的にも良い影響を与えてくれることが改めて教えてくれます。

ペットとして、おうちで犬や猫、ハムスターや小鳥などの小動物をを飼っている方なら、理屈ぬきで彼らの与えてくれるパワーを感じられるでしょうし、ふれあう事により心の安らぎや癒し効果を実感しておられる方も多いのではないでしょうか。

この健康増進効果を大きく(1)心理的効果と(2)身体的効果の2つに分けてみましょう。

(1)心理的効果
  科学的な医療技術の進歩や薬は、その進歩とともに私たちを多くの病気から守り、救ってく
  れました。けれども、日常生活のチョットした出来事や笑いが私たちの心理状態、ひいては
  健康をも左右することも事実として認められています。
  昔から「病は気から」という言葉は世界中に存在し、心と身体の関係、感情が健康や病気
  と密接につながっている事が言われてきました。科学もテクノロジーも存在しない時代から
  私たちは体験的に知っていたのですね。
  そして、近年になって、免疫系の研究が進むにつれ、その効果が証拠だてはじめられました。

  どうやら、心の持ち方や感情が免疫系に影響があるらしいのです。例えば、近親者を亡くし
  て悲しみにくれる人や孤独を感じている人、クヨクヨと落ち込みがちの人は、免疫機能が衰
  えて病気にかかりやすくなりがちであるという報告もあります。1989年、スタンフォード大
  学のデヴィッド・スピーゲル博士は、癌患者の余命が心の持ち方や感情によって随分と差が
  出る事を数字で実証しました。

  前向きの気持ちや、明るいポジティヴな心や笑いが癌細胞の増殖をも抑える力がある…という
  のは最近よく耳にしますね。
  では、どうすればそういった心境になれるでしょう?
  個々の性格もあるし、すべての人が前向きで明るく生きられるわけではありません。家族を
  始めとする周囲の人たちの協力にも限りがあります。なぜなら、同じ人間だからです。

  そんな私たちをサポートしてくれるのが身近なペットたちではないでしょうか?
  思わず微笑みたくなる愛らしいしぐさや動き、計算や打算のない愛情表現の豊かさ…。
  ふっと心がなごみ、嫌な事を忘れさせてくれる役割を果たしてくれますね。
  また、世話をする事により生活に張り合いができます。動物を仲立ちとした新しい人間関係
  も生まれ、家族との共通の会話が増えることにより、明るく楽しい気持ちで過ごせる時間が
  増えてくるからです。

(2)身体的効果
  よく言われることですが、動物を飼うと運動量が確実に増加します。特に犬の場合は散歩を
  させなければいけないからですが、家の中にいるだけでも運動量は増えるはずです。動物た
  ちに合わせて世話をする分、手をかけなければならない分、そのまま身体を動かしているか
  らです。また、生活が規則正しくなるとも言われています。

高度な経済・科学技術の発展を遂げた今、私たちの暮らしは便利に快適になりました。

例えば、夏は涼しく冬は暖かく過ごしたいという願望も、エアコンの普及で、現在では当然のように思われていますが、近代以前では考えられないほどの贅沢でした。つまり、私たちは今、非常に恵まれた生活を送っているはずなんですが‥

ところが、生活が豊かに快適に便利になってゆけばゆくほど、世の中は忙しくなってきました。『忙しい』の『忙』の字は、実は『心が亡くなる』という意味なんですよ。近隣との人間関係も希薄になり、隣に住む人の名前すら知らないケースも多いのではないですか?便利で快適ではあるけれど、なにかか物足りない、心が満たされない思いをすることもあります。便利さ・豊かさへの追求の果てに私たちが得たものは…?そして失われたものは…?

私たち現代人は、近代化・都市化の中で否応なく自然と切り離された生活を送っています。残念ながら、テクノロジーが発達すればするほど、便利さや快適さ・豊かさを追求すればするほど、ナマの自然から遠ざかっているのも事実なのです。けれども、もう後戻りはできません。

電気のない暮らしには耐えられないでしょうし、ネットや携帯の無い生活も考えられないですよね。ましてや、原始時代の暮らしに戻る事はもう絶対に出来ません。

高度に発達した脳を持ち、「火」と「道具」を操ることが可能になった私たち人間ですが、それでも地球に生きる「動物」の一種である事に変わりはありません。どんなに自然を征服して繁栄しようと、完全に自然と切り離されて生きる事は、実は不可能なんですね。

はい、そこで動物たちの出番になるわけですね。長い歴史の中で、人間と協力し合って共に生きてきた実績を持つ犬や猫たちは、ある意味では自然そのものの存在でもあります。癒しを求める私たちの心が、よりいっそう彼らを必要とするようになってきたのです。

以前、ロボット犬やゲーム機の中でのペット飼育がブームになったことがありましたが、定着はしませんでしたね。高度なテクノロジーの集大成であるそれらよりも、私たちが選んだのは温かくて柔らかな、血の通った動物たちでした。

動物学者のコンラッド・ローレンツ博士は次のように語っています。「人間と動物の関係は、人間と自然の関係である。人間が自然と離れて都会化すればするほど、自然すなわち動物の存在が必要となる」

そうして、いま、人間と動物たちとの関係を学術的に追求する新しい科学も生まれてきました。人間と動物たちとの深い絆を改めて見直す時代になってきたのです。

世界中の国に共通している事ですが、生活が文明化、都会化するほど、人はペットを飼うようになってゆくのです。総理府の調査によると、日本全国の世帯数のうちペットと暮らす家庭は3家庭に1家庭の割合になっています。

(社)日本動物病院福祉協会が、犬や猫と同居している高齢者323人に対して行った『あなたにとって動物はどんな存在か?』というアンケート結果(複数回答)を見ると

宝物:5.6%     友だち:17%
子ども:21.4%    愛玩:6.5%
孫:1.9%      その他:2.5%
家族:69.7%     無回答:2.8%

ドイツのレームが3歳~14歳の子ども513人を対象にしたアンケート結果では

友だち:64.4%     動物:13.4%
兄弟:16.6%      同じ家に住む仲間:5.6%

どちらも圧倒的に動物たちを家族&友人として認めていることがわかります。既に子育てを終えた高齢者の方々は、新たな世話をする子どもとしてペットを受け止め、また最近の少子化により、兄弟の数も少なくなった子どもたちにとっては、自分と対等、もしくは面倒をみなければいけない、守ってあげたい弟か妹の感覚で彼らを認めているのですね。

自分がペットよりも強い立場にあることを自覚して世話をする事は、責任感と自信につながります。また、命ある生き物に身体ごと接することは、豊かな生命感を育み、思いやりの気持ちが生まれてくる事でもあります。どちらも、子どもの成長にとって大きなプラスになるのはいうまでもありませんね。

動物を人間の治療に役立てようとする試みは、実はかなり古くから行われているのです。

古代ギリシア時代にさかのぼる「乗馬療法」です。これは、けがをした兵士のリハビリに行われていました。弱った脚のストレッチや平衡感覚の訓練、馬の背から伝わる上下・前後・回転運動が、脳幹を刺激し心身の機能回復に役立ったからです。近代になってからは、1952年のヘルシンキ・オリンピックで乗馬の銀メダルを獲得したハーテルという女子選手が、子ども時代にかかった小児マヒの後遺症を乗馬によって克服したケースが知られています。現在では、日本障害者乗馬協会、日本乗馬療法協会などが乗馬施設を中心にして国内30ヶ所以上で実施されています。

また、盲導犬の発祥は、紀元前100年にまでさかのぼります。盲目のドイツ王が盲導犬を所有していた事が古文書に記されており、ボンベイの壁画や13世紀の中国の絵巻物にも盲導犬に関する記述があります。

また、近代看護法の始祖で、誰もがその名を知るナイチンゲールは、1859年、ペットが病人に与える影響について「小さなペットは病人、特に長期にわたる慢性病患者にとって素晴らしい仲間になる‥動物に餌を与えたり、身の回りの世話をすることができれば、励まされるに違いない」と書いています。臨床経験豊かなナイチンゲールは、患者への癒し効果を実感として理解していたのですね。

アニマルセラピー★ペットが癒すあなたの心

ペットには人間を癒してくれる力があります。…なぜ今、動物たちとのふれあいが見直されているのでしょうか?様々な角度から焦点をあて具体的にペットが人間に与える影響を解説します。